宿った命
*紗季side*
修平の顔が近くなる。
手と手が熱を持って触れ合う。
突然のことで、あたしは息をするのを忘れそうで、
それでも必死で呼吸をする。
「修平・・・」
「体で覚えるしかないだろ。こういうのはさ」
「え?」
「いつでもどうぞ?」
修平の低い声にぞくっとするのがわかる。
あたしは自然と、その声に促されるように
ゆっくりと足を踏み出した。
「あ・・・」
その目でちゃんと捉えた。
今度はちゃんと右だったの。
「修平!」
「いーから続けて」
「う・・・うん」
なんだろう。
この感じ・・。
修平をすごく近くに感じてる。
くるくると、流れるように踊り続ける2人。
あたしって、実は踊れたんじゃない?って
そう思うほど綺麗に、しなやかに。
これはどうして?
ううん。わかってる。
修平が、あたしをひきつける。
修平の手が、あたしを誘う。
誰もいない、夕暮れの教室で。