悪魔ニ花束ヲ

「着いたよ」

文句の一言いう間もなく、灰原はクイッと顎をあげる。

え、とあたしはそのまま視線を釣られて上を見上げた。


《Wonder Garden》

木彫りの看板に可愛いらしい字が彫られていて、木の弦が巻き付いたデザインはそこだけ空間が違うかのように優しかった。


「う、わぁ」


思わず感嘆する声。あたしはあんなに探しても見つけられなかったのに、灰原千景、やはりおまえはただ者じゃあるまい、

「昔からあるでしょ。単に君が方向音痴なだけだね」



灰原の冷めた声は見事にあたしの疑惑と羨望の入り交じった瞳を打ち砕いてくれた。



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