悪魔ニ花束ヲ
雨はすっかり止んでいて、雲は暗いけれど所々に晴れ間が見える。雨上がりの重たい空気が肌に気持ち悪かった。
「君、さ」
少し歩いた所で、無言だった灰原がいらついたようにわたしを見る。怒っているようにも見えるけれど、顔立ちが端正過ぎて逆に綺麗だ。本当に得な人種だと感心してしまう。
「まじで苛つく」
辛辣に聞こえる言葉。歪んだ灰原の表情は感情を抑えているようにも見えた。
「君ってほんとイラつく」
「それはすみません」
なんだか疲れた。帰って寝たい。
「うん。だから僕の前で堂々と他の男に触れさせないでくれる?」
「え?」
「目障り」
灰原は吐き捨てるようにいうと、フイと視線を外した。
わたしには───
今の灰原の言葉の方が理解出来ない。目障り、は分かる。だけど、聞き様によっては、
「……ヤキモチ?」
なわけない?か?