強引男子のイジワルで甘い独占欲
このまま質問攻めされ続けるのも面倒だと思い、本題をハッキリさせようとこちらから問い掛ける。
井川さんは、そんな私の失礼な態度に、驚いた表情を浮かべて……それから眉を寄せ顔を歪めた。
「隼人くんが、入社前まで昔付き合ってた人を、佐野さんは知ってますか?」
「ああ……大人しい子だって聞いてますけど」
確かあまり自分の気持ちだとかを言葉にしない子だったから、眞木も分かってあげられなくて別れたみたいな事を言ってた気がする。
頷いた私に、井川さんは顔をしかめたまま、それ私ですと答えた。
「それって……え、眞木が付き合ってたっていう大人しい子が井川さんって事ですか……?」
まさか、と信じられない思いで聞くと、井川さんが深く頷く。
でも、大人しい子だったって聞いてるし、井川さんは見る限りそういう感じの人には見えない。
大人しい子は、私にこんな風に不満を並べにはこないだろうし、とも思うものの。
嘘をつく必要もない事を考えると本当なのか……。
いつ付き合ってたのかは知らないけど、別れてから変わったって事なんだろうか。
失礼ながらジロジロと見ている先で、井川さんが目を伏せる。
「私が隼人くんと付き合ってたのは、大学四年生の夏から数か月です。
私は高校の頃からずっと憧れてたから、告白して応えてくれた事はすごく嬉しかった。
だから……寂しいだとかそういう事を言って、隼人くんに面倒がられたりしたくないって、自分の気持ちはほとんど伝えませんでした」