強引男子のイジワルで甘い独占欲


「そうだったかもな。佐野みたいに突っかかってきたりするヤツじゃなかったし」
「私は別に突っかかってなんかないじゃない。
ただ、自分の意見言ってるだけで」
「別に悪いとは言ってないだろ。
考えてる事言ってもらった方がこっちも分かってやれるし」

そう言いながら割り箸でお弁当を食べる眞木は、少しだけ落ち込んでいるように見えて。
なんとなく、前の彼女を思っているのかもしれないなぁと思った。

もしかしたら眞木は、大人しくて従順な、あまり自分の意見を主張しない元彼女の事を分かってあげる事ができなくて、それが原因で別れたのかもしれない。

そうか……。
眞木が本気で恋愛している姿なんて想像できなくて、別れ話をしているところなんてもっと想像できないだけに、そんな過去があったのだと思うと胸が痛んだ。
しかも、言葉数少なくそれだけ言って黙ったりするから、私も下手に声がかけられない感じで、それがまた余計にその元彼女との過去がとても大切なものだって伝わってくるようで胸どころか喉の辺りまで痛みがこみ上げてくる。

慎司と別れてまだ一ヶ月も経たないから、恋愛方面の話題に過敏になっているだけと言われればそうなんだけど、眞木の過去が悲しくて。
さよならを言われているところを自分と重ねて想像してしまって、会社だっていうのに目に涙が浮かんできてしまった。


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