まんまと罠に、ハマりまして
広報部に配属されて、3ヶ月。
まさか、課長のこんな表情(カオ)を見られるなんて。

思わず、私はそんな課長に、見いってしまったらしい。


「…穴が開きそうだな。そんなに凝視されると…」


課長がまた、意外な表情を見せて。


「え、あ、すいません!」


多分。
ううん。
明らかに、ちょっと照れていて。


「いや…」


気のせいじゃない。


─ドキッ


課長の口角が、微かに上がった。

課長が。


─微笑んでる…


「そんなに怖がらなくていいし、緊張もしなくていい」


そんな課長に、初めて。


「はい…」


私は、裏返ることなく、返事が出来た。


< 25 / 325 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop