×ルームメイトの内緒話×
人通りの多い道。
泣き喚く母さんは嫌でも目立ってしまう。
仕方なく俺は母さんを室内に誘導した。
キッチンを漁り、適当に紅茶を入れる。
それを、ソファーに座った彼女の前に差し出すと、一瞬でカップを倒された。
小さくため息をつき、布巾を取りにキッチンまで戻る。
昔の俺なら、ただ慌てふためくだけだったかもしれない。
そんな出来の悪い俺から逃げるように、母さんはフランスに行ったんだ。
……もう逃げないし、逃がさない。
「……母さん。俺、日本でもフランスでも、死ぬほど勉強したんだ。
もう……洸にだって負けないほどの技術がある」
母さんの隣に座って声をかけると、静かに顔を背けられた。