【完】こいつ、俺のだから。
驚きのあまり目をしばたたかせていると、佐野はふいにあたしの手を掴んだ。
「部屋どこなんだよ。早く言え」
「…………2階、だけど」
あまりの強引さに、抗えない。
佐野は優しくあたしの手を引いて階段を上がっていく。
よく見ると、もう片方の手にはビニール袋があって何かを買ってきたみたいだった。
「お前、足は大丈夫なのか?」
「え?足……?」
あぁ、もしかして、コケたところのことかな。
「うん。もう平気」
「……そうか」
……なんだろう。
今日は、顔合わせないで済むって思ってたのにな。
弱ってるときにあんたがいると、なんか調子狂う……。
部屋に着くと、佐野はあたしをベッドに座らせた。
「おら、おとなしく寝とけ」
「さっき眠ってたのにあんたのインターフォンで目が覚めたから眠くない」
「んな言い訳すんな。目閉じとけ」
「…………」