【完】こいつ、俺のだから。



「あ、そうだ佐野。あたしの家でおかゆ作ってくれたとき食器も片付けてくれてたんでしょ?お母さんがキレイになってるって言ってた。ありがと」



「お、おー。つか急だなおい。話の変わりようにびっくりたじゃねぇか」




……だってなんか、話逸らさないと、あたしが変になりそうだったから。



すると佐野は、鋭い目であたしを覗く。




「お前、なに赤くなってんの」



「は?」



「いちいち赤くなるなよ。ばーか」



「……な、なってないし!」




佐野に言われて頬に触れる。



確かに少し火照ってるかも。でも気のせい。


病み上がりでまだ熱が残ってるのかも。それか、



「これは夕日のせいだ!」



「まだ昼間だ。太陽サンサンだろうが」




そうだ忘れてた。


午後から文化祭準備だったあたし達は、買い出しとかいう名目で外にでて来たんだった。




「……てかすっかり忘れてたけど、買い出しは?しなくていいの?」



「……ちっ、めんどくせぇな。待てよ。今、前野に聞く」



そう言って、佐野はスマホを取り出し操作しはじめた。



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