【完】こいつ、俺のだから。



「確かに最初は利用してた……だから最低なことしたのは変わりないんだけど、でもやっぱ誤解されたままはイヤだから聞いてほしい、ホントのこと」



顔をあげた先輩は、まっすぐにあたしを見つめる。



先輩はひとつずつ、過去をたぐり寄せるように話し出した。



思いだしていく、あたしの初恋――……。






中学の頃から好きだった人がいた。



高校になって、やっとその人と付き合えた。



すごく幸せだった。楽しかった。



両想いになれたって思ってたのに……。


どうやらそう信じてやまなかったのは、あたしだけだったみたい。



ちょうど夏休み前かな。



先輩と一緒に帰ろうと思ったあたしは、学校内で先輩を探してた。


そして、先輩が他の女の人を抱きしめているところを偶然にも見かけてしまった。



目の前が真っ白になって、頭の中空っぽになって、裏切られたって思った。



だけどまだ、忘れられなくて。


こんな気持ちのままでいるくらいなら、聞いてしまえと思って勢い迫った、夏休み明けの放課後の教室。




< 316 / 418 >

この作品をシェア

pagetop