あなたまでの距離
彼の腕の中から、彼を見つめる。



静かに、彼が微笑む。
「ごめんね、こんなおっさんが。」


私は黙って首を横に振る。
たったの6歳、上なだけ。

「気付いたら、好きになってた。沙耶のこと。」

「…嬉しい。」



───私も、好き。



その言葉を言う前に、私の口唇は、彼の口唇によって、塞がれた。

ついばむような、優しいキス。



少しのお酒の匂いと、彼の匂いがする。



口唇が離れて、もう一度強く抱き締められた。

「やっべー。」



何に対しての、やっべーなのかは、敢えて聞かずに、彼の背中に腕を回して、顔を彼の胸にうずめる。



彼の手が、優しく私の頭を撫でる。

余りにも優しくて、目を閉じる。



不意に彼の手が、私の頬に触れる。

2回目のキス。

口唇を甘噛みされて、少し口を開けると、彼の舌が中に入って来た。
それに応えるように、私の舌を絡ませる。

「ん…ふぅっ…」

気持ちが良くて、思わず甘い吐息が漏れる。


彼が口唇を重ねたまま、喋る。

「沙耶…声、色っぽすぎ…」
そして、また舌を絡め合う。


快感で、立っているのがやっとになる。



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