甘くない現実

 毎年、年が明けると僕はとても憂鬱な気持ちになる。2月に近付くにつれ、彼女は朝から僕に甘いものをくれる。必ず感想を聞かせてと言う。男の子の意見が欲しいなんて言って。だれだれにあげるからなんて、ご丁寧な理由までついてきた年もあった。

 そういえば、今年は若干分別がついたのか、誰のためなんて言わなかった。けれども、相変わらず、毎日何やかやとチョコレートに関連した甘いものを僕にくれる。

 断ればいいのに。

 ぼやく僕に、後輩の女の子がそう言った。断れるもんなら断っている。

 朝だって、別に一人で登校できるじゃん。もう心配だらけのちびっ子じゃないんだから。

 そんなこと、百も承知だ。
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