リトライ。
「沙奈、さ〜な!」
ーーはっ。
私は泉ちゃんの声で目が覚めた。
今のは夢……?
どうやら1時間目は寝てしまったらしい。
「ちょっと次、移動だよ」
「あ、うん」
「どうしたの?寝不足?」
「うーん、寝てるんだけどね。なんだか眠くて……」
最近よく夢を見るようになった。
それもあんまりいい夢じゃない。
「……行こうか」
1時間目に開いていた教科書をしまって、美術の道具を持つと、私たちは廊下に出た。
まだぼやぼやする頭を起こすために身体を動かしていると。
「沙奈」
後ろからぽん、と肩を叩かれた。
ゆっくり振り返って見てみると思わず声が出てしまう。
「げ、」
そこにいたのは昨日バスケをした彼だった。
「おいおい、人のこと見てげっ、はないだろう?」
気まずくて目を逸らす。
出来れば関わりたくなくて、歩く足を動かそうとすると彼はそれを止めた。