リトライ。



「ちょ、ちょっと……!ちょっと待って!本当に謝りたくて話しかけただけなんだ」


ぴたり、と足を止める。

その様子を泉ちゃんは楽しげに見ていた。


「昨日はごめんな。後々さけっこう気に障ること言ったかもって気づいて……」

彼はばつが悪そうに頭をかいた。


別に悪いのは彼じゃない。

自分自身だ。


「私もごめんなさい……イライラして勝手に帰っちゃって」


私の言葉に彼は安堵した表情を見せた。


「あのさ、昨日あんなに必死に言ったのも……もったえねぇなって思ったからなんだ。

すげぇ楽しそうな顔してたから。バスケはもうしないって言ってたけどさ、もう1回やれよ。

絶対楽しいぜ」


「……楽しくなんてない」


思い出す記憶はいつも暗くてどんよりしているものばかりだった。


「人に何言われても、私はバスケする気なんてないですから……行こう泉ちゃん」


「えっ……う、うん」



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