【続】三十路で初恋、仕切り直します。
「もし同窓会で会ったとしても、みんなの前じゃ法資に話し掛けられなかったかも。だいたい高校のときは法資になんか嫌われてるんじゃないかって思ってたし」
「それはこっちの台詞だな。先に余所余所しくなったのはおまえの方だろ」
「法資、学校だとわたしと顔馴染みなこと、隠したがってるように見えたけど?」
「おまえもな、学校のときと帰ってきたときとで態度違ってただろ」
今更すぎることを言い合ってるのがおかしくなってきてお互い笑ってしまうと、法資は不意に「高校ン時、もし好きだとか言ってたらどうなってたんだろな」などと言い出してきた。驚きで「わたしに?」と訊いた声が裏返り、法資に「随分な反応だな」と皮肉を言われてしまう。
「……だって。そんなこと言われても、絶対本気だって思わなかったよ。法資が馬鹿言ってるな、とか。罰ゲームでもしてるんだろなって」
泰菜の正直な言葉に、法資はばつが悪そうにしながらも首肯する。
「だな。俺もどうしたってあの頃おまえが俺のものになったとこなんて想像出来ない」
だよね、とあっさり同意するといくらいか憎らしそうな目をして法資が睨んでくる。
「好きだどうだってまともに考えられなかったくらい、あの頃は苛々してばっかで正直結構ギリギリだったからな。ああやって距離置かなかったらそのうちおまえ無理やり犯ってたかもな」
「……法資がわたしとしたいって思ったことなんてあったの?」
さんざんガキだ、色気がない、女じゃないと馬鹿にしていたくせに。「そういう対象」として意識されていたことがあったなんて、ありえないと思っていたのに。