【続】三十路で初恋、仕切り直します。
「……次に会えるの、挙式のときかな?」
「出来たらその前にも何回か帰ってきてやりたいけどな」
すまなそうに言われて、首を左右に振る。
「忙しいんだから無理しないで。でも挙式と披露宴が無事終わったら、ちゃんと褒めてね?」
「ああ。落ち着いたらいいとこ連れて行ってやるよ」
「いいとこって?」
シンガポールには格式のあるホテルからカジノやテーマパークなどの娯楽施設、庶民的で安くておいしい屋台村(ホーカーズ)など、遊び歩くスポットには事欠かないという。
「今回のリベンジに夜景のきれいなホテルとか、水族館の魚見ながら寝れるホテルだとかにも連れて行ってやるよ」
シンガポールでふたりで暮らすことを待ち遠しく思ってくれていることが、法資の言葉ひとつひとつに感じられて、自然笑みがこぼれてしまう。
「なんだよ?」
「ううん。……なんか嘘臭いなって思って」
「……ひどい言い草だな。ちゃんと連れてってやるよ」
「じゃなくて。まさか法資と再会して1年もしないうちに結婚するなんて、去年の今頃は想像もしてなかったなって思って」
神様に感謝しないと、と胸の中で呟く。
「わたし、あの日法資に会えてほんとによかった」
深い感慨の篭った泰菜の言葉に、何故か法資が顔を歪める。
「………馬鹿だな、おまえ」