昭和りびんぐでっど
その夜、私は午後22時就寝した。

それから3時間半後、急に目が覚めた。

「今・・何時だ・・?」

時計を見ると、午前1時30分。

まだこんな時間か・・と目をつむろうとしたとき、ふっと昼間の生徒たちの会話が頭をよぎった。

あの古本屋のことを思い出した、私はカーテンを開けてみると真っ暗闇の中にポツリと明かりがついている。

気になって外に出てその古本屋の方向に向かった。

外見は至って普通の古本屋だ、すると中から齢18歳ぐらいの子どもが出てきた。

「いらっしゃいませ」

顔は逆光で見えないが声からして、少年だろう。

「あの、ここは・・?」

「見ての通り、しがない古本屋ですよ。そんなところにおらず、中に入りましょう」

と店主に案内され、私は古本屋の中に入って驚愕の光景を目の当たりにした。

「おい、主人。小林多喜二の“蟹工船”はどこかね?」

「それなら右から二番目の下の棚にありますよ」

「“雪国”は?」

「それなら―」

と中は大変賑やかだった、外にいたときは全然そんな雰囲気はなかったが―。

「どうぞ、うるさいですがみなさんいい人たちですよ」

「おっ、生きてる人か?」

1人の軍人が私の方にやってきた、服装からして航空隊の人だろう。

「飛曹長・・・ですか?」

「わかるのか?」

「えぇ、元海軍でしたから」

そう言ったら彼はとても嬉しそうな顔をした。

「ここの多くは陸軍の方が多いですから」

そういえば・・、歩兵隊や陸軍将校の姿が多くみられる。








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