ラベンダーと星空の約束+α
 


手が離れ、遠くに行ってしまう予感に淋しさを感じながらも、

その成長が嬉しく、頼もしく思った。




「紫龍、留学してみなよ。

まだ先の話しだけど、高校生活は外国で…

留学しながら何をしたいのか、考えてみればいい」




「いいの…?父さんは?」




「おう、いんじゃねぇの?

行って来いよ。

俺も紫も、お前にはやりたい事をやって貰いてぇ。

ま、紫にとっては、お前のやりたい事がファーム月岡ならベストなんだろうがな。

外国行って、やっぱ日本が一番。富良野が一番て思うかもしんねぇぞ?」




「ふふっ そうそう。

私の中では富良野が世界一なんだけどな。


紫龍、やりたい事は全部やってみなさい。

私達はあなたの親。
全力で応援するから」




「母さん…ありがとう…
父さんも…言って良かった……」





紫龍は嬉しそうに恥ずかしそうに笑っていた。



紫龍には紫龍の道を。
それが一番いいんだ。



紫龍の歩む先に、いつかファーム月岡があれば…それが一番嬉しいけどね。




「おう、流星にも礼言っとけよ。

常にバタバタしてる我が家で、こんな話しは滅多に出来ねぇぞ?

ムカつくけど、あいつのお陰なんじゃねぇの?


しっかしあいつは死んでんのに忙しい奴だな。

あっちこっち夢の中駆け回ってんのかよ…

二人三脚の練習してる暇はねぇってか?

しゃあねぇな…
パン食い競争に種目変えてやるか……ゔっ…臭せっ!

大地、俺の鼻先で屁こいただろ?」




「とーたん、うんち」




「おう、トイレ行くぞ」




「出た。あははっ」




「漏らすなっ!
紫、大地のパンツくれ!」





大地はトイレトレーニング中で、オムツを外したばかりだ。



まだまだ失敗する事が多く、大量のパンツを洗う日々。



タンスから大地のトレーニングパンツを取り出し大樹に投げる。


大樹はそれを空中でキャッチして、大地を担いで階段を駆け降りて行った。



それと入れ代わりに、リビングから母の大声が聞こえる。




「紫ー!何やってんのー!
早く朝ご飯の支度しなさーい!」




大切な話しが出来たのはいいけど、すこしのんびりし過ぎたみたい。

急いで朝食の用意をしないと。



< 129 / 161 >

この作品をシェア

pagetop