ラベンダーと星空の約束+α
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◇◇◇
[紫龍 14歳夏]
今年のラベンダーのシーズンが終わった。
観光客がぐっと減った、晩夏の日曜日、
昼過ぎまで店に出て、
その後は帰っていいと言われ、家で読書していた。
書斎の窓から涼しい風が入っている。
風に揺すられる前髪。
時々手で掻き上げながら、机に向かい、分厚い本のページを捲っていた。
最近では、フランス語も大分スムーズに読めるようになっていた。
クライマックスを迎えた手元の物語に、集中したいのだが……
それを邪魔する奴がいた。
「ねぇねぇ紫龍君、聞いてる?
浮気したら嫌だよ?
自由行動で、女子と二人切りもダメ。
夜、女子部屋に行ってもダメ。
それから…
お風呂上がりの女子が、濡れた髪で迫ってきても……」
「留美っ!!
うるせーよ、本が読めねーだろ!
お前さ、彩香と風香と遊ぶ為に、うち来たんだよな?
変な妄想してないで、さっさと妹達の部屋に行けよっ!!」
イライラが頂点に達し、留美の襟首を掴み、書斎から追い出した。
いつもは、これほど煩く付き纏ったりしないのだが、最近の留美はすげー煩い。
原因は、俺の修学旅行が来週に控えているため。
一年下の留美は、一緒に修旅に行けないから、色々変な心配しているようだ。
浮気するなと言っていたが、留美と付き合ってる訳じゃない。
誰とも付き合う気はない。
女なんて、煩いだけ。
男友達には、
「いいよなー
その顔、取り替えろ」
と言われる。
簡単に言ってくれるな…
この顔で、かなり苦労しているんだ。