ツンデレ彼氏をデレさせろ。


「ーあ、と。
賢くて、利巧な李斗君のことだから、
わかってはいると思うけど。


もう一回、釘は刺しとく。
責任が取れないようなこと、
しちゃダメだからね?
本当に、頼んだからね。」



ニコリと口元を緩ませ、
大人な笑顔を見せる朔のお母様。
ーだけど、目が笑っていない。



「…承知、しております。」



背中をスーッと嫌な感覚がした。
昨日、手を出しかけて、
邪魔が入ったおかげで、
なんとか収まった
自分じゃ収まらない衝動。



邪魔が入ったと舌打ちする一方で、
助かったと心底安堵した。



“まだ”彼女に
手を出しても良い時期じゃない。
それに、きっと、あの流れで
手を出しても彼女の本意でもない。




ーだから、『もっと触れたい』
という欲望はもちろんあるが、
邪魔が入ったことで
理性が掻き集められ
問題が起こることなく、
その場が凌げたことは
本当にありがたかった。



それにしても。
昨日のことを見抜かれているような
口振り。
でも、やっぱり、
朔が言ったとは、到底思えないし…。



ー本当、朔のお母様には、
全て見抜かれているようで
若干の恐怖を感じる。



「そ!なら、いいけど!」



釘を刺した時の表情とは
打って変わって、
すごく優しい表情の彼女のお母様。



「送っていただき、
ありがとうございました。」



学校に着いて、車のドアに開いた。



「いえいえ。
朔、本当にバカなところあるから
大変だと思うけど、頼んだわね。」



「それも可愛さの一興です。
お任せください。」



「じゃ、またね!」



そう言って、笑顔で朔のお母様は
去って行った。


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