ツンデレ彼氏をデレさせろ。
「オメー、朔ちゃんを
常に傍に置こうとして必死だろう?
だから、“調教”だなんて言って、
オマエは
金も取れる腕を持ってるくせに、
茶道を無償で朔ちゃんに教えてる。」
「いいだろ、俺の彼女なんだから。」
「ああ、いいさ。
だけど。そこまでするのは、
オマエは彼女とこの先の未来も
考えてるってことだろう?」
「………。」
図星だった。
高校生の分際で、未来とか、将来とか、
重いのは重々承知してるけど。
ー彼女とずっと一緒にいたいから。ー
ーだから。
「李斗があの女に騙されて
心を閉ざしてたのを、
朔ちゃんが助けて、
李斗を変えてくれた。
それは、
俺や遼にはできなかったことだ。
本当に感謝してる。
そこは彼女の良さだと認めてるんだ。
性格だって、すごく良い子だと思うよ。
でも、朔ちゃんは、一般人だ。
一般人では通用しないこともでてくる。
彼女には、棗家の人間として
相応しい人間になって
もらわなければならない。
この先、ずっと、彼女と
一緒にいたいのなら、な。」
「零斗。今時、そんな古臭いこと…。」
「“古臭い”?
ふざけんなよ。
俺は棗家の為と言って、
ずっと籠の中で育てられたんだ。
その分、親戚のオマエは
自由に育てられてきたよな?
有難いと思え。
自由があることに。
でも、将来を考えるなら、
話は別だ。
“棗家”に影響してくる。」
「………。
それなら、どうしろと?
俺は朔の傍を離れるつもりはない。
何があっても。絶対に。」
「彼女を棗家に
相応しい人間になるように
李斗が育てろ。」
「オマエに、認めさせればいいんだな?」
「ああ、そうだ。
彼女との未来を考えるなら、な。」
そう言った零斗の瞳は、
とてつもなく冷たいものだった。ーーー
ーそれだけ言って、
零斗は、屋上を後にした。