ヒット・パレード



幾つもの不安を抱えながらも、もう後には退けない。


現在ステージに上がっている《ウニコーン》の演奏が終われば、次はいよいよトリケラトプスの出番がやって来る。


「ウニコーンの演奏曲数は三曲。その後、一度スタジオに返してからCMも含めておよそ十分程でトリケラトプスのステージが始まります」


楽屋でスタッフから説明を受ける森脇。その顔は真剣そのものであった。


28年間、ずっとロックを封印してきた。どんなにこの時を待ち望んできた事だろう………やはりこの男、森脇にはロックを歌う事、それが生き甲斐に違い無かった。


「いよいよですね、森脇さん。頑張って下さいね!」


トリケラトプスが楽屋に入ってから、度々様子を見に来ていた陽子がそう言って森脇を励ます。


「俺よりもアイツに言ってくれ。このステージ、成功するも失敗するも全て奴のギターに懸かっている」


森脇は、少しばかりの皮肉の意味も込めて黒田を顎で指しながら、そんな風に答えた。


しかし、その黒田はそれを皮肉だとは捉えず寧ろ自分に対しての期待と捉えていたようだ。


「任せろよ!オレがステージに立てば観客は沸くぜ!
まあ、見てろよ。あんな刺されて死んだ前島なんかより、ずっと凄えギターを魅せてやる!」


ステージを直前に控えた興奮からか、黒田がうかつに口走った言葉。


その言葉を耳にした途端、森脇の表情が変わった。



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