ホルケウ~暗く甘い秘密~
隣を歩いて気がついたが、玲は少し背が伸びていた。
いつの間にか、りことの身長差も10cmほど開きはじめている。
そのうち玲を上目遣いで見る日が来るかもしれない。
「焼きそば食べたい!りこさんは?」
「んー、私はたこ焼きのほうが食べたいかな」
「じゃあ、半分こしない?」
「良いわね。そうしよっか」
甘ったるい雰囲気さえなければ、顔も赤くならないし普通にしていられる。
自然とほどけていた手に一抹の寂しさと安堵を感じ、りこは玲と遅い昼食にありついた
「なんていうか、見られてるね」
どこか楽しそうに笑う玲に、りこはなんとも言えない表情になった。
確かに見られている。
白川中学の色んな意味で有名な美少年が、なぜか高校の学祭にいるのだから。
「気になる?」
「いーやまったく。予想していたことだし」
それよりも、と玲の白魚のごとくスラリとした人差し指が、りこの口元を拭った。
「マヨネーズついてる」
赤い舌をチロリと覗かせながら、指先についたマヨネーズを舐めとる玲の妖艶さに、りこは思わず顔を背けた。
エロい。安っぽい言葉だが、まさに彼の仕草はエロチックなのだ。
ふと玲のほうを見ると、先ほど舐めた指先を見つめ、いやに神妙な顔つきでこうぼやいた。
「口元にマヨネーズって……アレを想像する。せい」
反射的に玲の口にたこ焼きを突っ込んで、りこは何も聞かなかったことにした。
確かに言われてみればそう見えなくもないなどとは思っていない。
たこ焼きを咀嚼しながら、玲はニヤニヤと笑った。
「なんかやらしいこと考えてない?」
「うるさい。あんたに言われたくない」
こういう時、玲は厄介な存在だった。
彼は自身が発する色気の効力がいかほどのものかわかっている上で、りこをからかって遊んでいるのである。
すっかりへそを曲げたりこの機嫌を取ろうと、玲は次の屋台へと誘った。