ホルケウ~暗く甘い秘密~
「りこさん、人狼に興味があるなら、これを貸すから読んでみて」

「それ、なに?」

「俺がここ数年間研究し続けた、人狼の生態系についてのまとめ。世界にたった1つしかない貴重なノートだよ」


パラパラとノートをめくると、あまりの詳しさにりこの目は釘付けになった。

項目別に設けられた考察。玲自身が試したのであろう、実験の数々。リアルなイラストまでついている。


「すごい……あんた、研究者にも向いてるわ。玲……」


感嘆のため息をつくりこに、玲はにんまりと得意げな笑みを浮かべた。


「イラストは親父が描いてくれた。情報収集と実験は、コツコツと進めてきた。現時点で明らかになっている、人狼についての知識のほぼ全てが、このノートに書かれている」

「ありがとう。熟読するわ」


7時30分になった。

りこは呉原家を後にし、急いで靴下と下着を着替えに帰宅した。

玲から借りたノートは、スクールバッグの奥に仕舞う。


(今日は期末テストの範囲の発表か……。昼休みは、委員会。放課後には、新しい図書の仕入れと陳列作業。ゆっくりノートを読んでいる時間は無いわね……)


そして家を出た時には、さらに大事なことに気づいた。


(今日お弁当作ってない!!)


条件反射で学校に向かう足が止まるが、無いものは仕方ない。

昨日あんなことがあったのだから、そんな余裕がないのも当然だろう。


(まあ、1日くらい良いよね……)


しかし、大混雑と定評のある購買に赴くのはいささか面倒だ。

状況によっては昼食を抜こうと決意し、りこは学校へ急いだ。
< 77 / 191 >

この作品をシェア

pagetop