高校卒業を間近に、まったく足らない単位を埋めるため、数週間、学校に行き、私は、ひとまず高校を卒業する事が出来た。

そして18歳にして念願の原宿の美容室に入ってから、私は治らない脱毛症を隠すために1度だけボウスにしたのである。
原宿の美容師仲間は、パンキッシュなスタイルの人から、ファンシーな人まで、ありとあらゆるジャンルの人間が存在していたので、これもファッションで、なんなく通用した。

無数のピアスを開け、細身で長身の私は、外人さんみたいでカッコイイ美容師さんと言われ、何故か女の子のファンが多かった。

女なのにボウズ、元々、目鼻立ちがハッキリしていた顔立ちなので、化粧をすると、派手さが増した。

痩せる為と、ストレス発散でやっていた吐く行為は、19歳で彼氏が出来た事で、自然とやめる事が出来た。長時間の通勤になったお陰で、運動量が増えたせいか、太る事もなくなり、成人を過ぎてからは、門限なども、ようやく、うるさくなくなった。

美容師として技術者となり、大好きな彼氏もいて、自分のファンがいる。
自分が、周囲の顔色を伺いながら、人と接していた小学校、中学校の頃の私とは比べ物にならない程、いつしか私は、自分だけの存在を確立していた。

何が、自分を変えたのだろうと、自分の生い立ちを振り返ってみれば、中学生の頃、先生と別れ、初めて1人ぼっちになったような気分に陥ってから、私は1人になる事が怖くなくなったのだ。

無理やり、そうなったのではなく、
もちろん、当時は寂しかった。

けれど、それに慣れた。

慣れたら、それは楽だった。

ひたすら美容師になる事だけに目標を定めた。
ひたすら自分が綺麗になる事を考えた。

そして、ひたすら、やり場のないストレスや思い通りにならない事に耐えていた。

21歳になる頃には脱毛も完全に治り、私は、毎日を楽しんで過ごしていた。
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