あくまで小悪魔【BL】
「でも、そうやって守ってもらえるのは今のうちだけだからね。大人になったら、もう言い訳は通用しない。反対に、自分が子ども達を導いてあげなくちゃいけないんだから」


そして俺の右手をそっと掴んだ。


「だから今のうちに、いっぱい迷って、悩んで、正しい道を見つけ出して。そして将来、どこかの誰かを、この手で導いてあげてよ」


華奢で小さいのに、まるで俺の体全体をやさしく包み込むような、とても温かい一条のその手。


一条はやっぱり先生だった。


しかも、かなり上等な部類の。


ただ単に、先にこの世に産まれて俺達の前を歩いて行く人、というカテゴリーでくくれるような人じゃない。


きっと俺は、一生この人には敵わない。


その経験値の差は、決して縮まる事はないだろう。


その事実に、何だか胸がキュ、と締め付けられた。


「あ!」


しかし、自分の世界に入り込んで思いっきり感傷に浸りそうになったその時、突然発せられた一条の声に、俺は否応なしにこちら側に引き戻された。


「司藤、血が出てるよ!」


「え?ああ」


今さらながらに思い出した。
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