あくまで小悪魔【BL】
「さっき、ノートで切っちまって……」


次の瞬間、俺は本日最大級の心拍数の跳ね上がりを記録する事となる。


一条が俺の手を両手で掴み、引き寄せ、その小さな唇で指先をやんわりと包み込んだから。


「…な!」


数秒間固まったあと、俺は思わず声を荒げた。


「何すんだよ!」


一条の唇から、手から、急いで指を引き抜く。


「え?だ、だって…」


俺の剣幕に目を丸くしつつ、一条は言葉を発した。


「血が、垂れそうだったから……」


その言葉に、改めて彼の口元に視線を向けると、下唇の真ん中辺りにちょん、と俺のものと思われる血液が付着していた。


そして一条はあろうことか、舌先をチョロリと出すと、俺を上目使いに見つめながら、それをペロリと舐め取りやがった。


何の邪念も計算もない、無垢な少年のような表情なのに、赤い舌先だけが別の生き物のように、この上なく淫らに、官能的に動きまわる。


俺は思わずゴクリと唾を飲み込んだ。


「……誘ってんのか?あんた……」


「え?」



ああ……。


もう、ダメだ。
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