あくまで小悪魔【BL】
今まで一生懸命気付かない振りをしてきた真実と、とうとう向き合う羽目になっちまったじゃねーかよ……。


そこからの俺の行動は我ながら感心するほど素早かった。


一条の肩を両手で抱いて引き寄せ、自分の腕の中にスッポリと納める。


「……へ?」


今度は一条が素っ頓狂な声を発する番だった。


いきなりこんな行動を取ったわりに俺は意外に冷静で、一条の体を抱きしめつつ、職員用トイレのドアを開け、そのまま個室へとなだれ込む。


「ち、ちょっ。待っ。司藤……」


幸いにも、トイレには俺達以外誰もいなかった。


というか、それに気付いていたからこそこんな大胆な行動が取れたんだけど。


後ろ手にドアの鍵を閉めた所で、改めてその瞳を覗き込む。


「先生が俺達を見守ってくれているのは、あくまでも大人の義務なんだよな」


「え……」


「これからも、そうやって子ども達を正しい未来に導いて行くんだろ?」


突然の事態に思考が付いてこないのか、一条は瞳に困惑の色を浮かべながら俺を見上げていた。
< 19 / 24 >

この作品をシェア

pagetop