あくまで小悪魔【BL】
「だけど俺は、先生のその視線を感じると、別の意味でドキドキしちゃうんだ……」


言いながら、さらに一条に顔を近づける。


「し、司藤っ。どうしたの?突然……」


言葉がすべて吐き出されるその前に、彼の唇を自分のもので塞いだ。


突然なんかじゃない。


もう、とっくの昔から好きだった。


奇妙な妄想に悩まされるようになる、その前から。


おそらく、初めてその存在に気付いたあの日から。


「んっ……んぅっ」


夢中で唇を吸い上げているうちに、次第に一条の呼吸は荒くなり、俺の腕の中で暴れ始めた。


名残惜しい気持ちはあったものの、そのリアクションに罪悪感を覚え、そっと解放してやると、一条は急いで空気を貪る。


「はぁ、くっ、くるし…」


目尻に涙を溜めて、息も絶え絶えに言葉を発した。


「何だよ……。あんた、キスぐらいしたことあるだろ」


俺のキスは、ただ唇と唇を合わせただけの、それは不器用なもんだった。


見かけはともかく、この人はもう良い大人なのだから、もっとディープなキスの一つや二つ、経験あるだろうに。
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