あくまで小悪魔【BL】
「だ、だって、こんな、一方的にされるのなんか初めてだもん」


一条は眉間にシワを寄せ、唇を尖らせながら反論してきた。


だけどまったく迫力がない。


むしろ、可愛さだけが際だっている。


「離せよ~」


一条はさらに、拗ねたような声音で抗議してきた。


「やだ」


「や、やだって……」


俺は改めて一条を抱きしめ、その首筋に顔を埋める。


「もう少し、このままでいさせて」


きっとこの人にこんな事ができるのも、これが最初で最後だから。


この気持ちを受け入れてもらえる訳がない。


俺達は教師と生徒で。


そしてそれ以前に、男と男なのだから。


だからこれは最後の我が儘。


ほんの数分だけの、夢の時間。


「大丈夫だよ」


俺は耳元で囁いた。


「すぐに、普通の生徒に戻るから」


そして右手を上げて、一条の頭髪に指を絡ませ、優しく撫でさする。


「あんたに迷惑はかけないから……」


その言葉に、腕の中の体がピクリと震えた。


「だから、これだけは言わせて」


俺に与えられた時間は長くない。


早く。

早く、この思いを伝えなければ。
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