未来から来た花嫁 ~迷走する御曹司~
屋敷に戻り、堅苦しいスーツを脱いでラフな服に着替えた俺は、すぐに1階へ下りて爺やを呼んだ。今の俺の気掛かりは、未だに姿を見せないヒロミの所在と小松だ。
果たして小松に恋人がいるのかいないのか、その事が気になって仕方ない。その二つに同時に対応するある方法を俺は思い付いたのだ。
「旦那さま、お呼びでございますか?」
70歳を過ぎてもまだまだ元気で、屋敷内を一手に仕切っている爺やが、いつもの人懐こい笑みを顔に浮かべてやって来た。
「うん。ヒロミはまだ見つかってないよね?」
「はい、申し訳ありません。手分けしてお捜ししているのですが……」
「そう? じゃあ、僕も捜すとしようかな」
「それにはおよびません。私共にお任せください」
「いや、僕も捜したいんだよ。心配だし、どうせ暇だからね。と言っても、一人でというのもなあ」
「では私も一緒に……」
「いやいや、爺やはいいよ。忙しいでしょ?」
思わぬ展開に俺は少し慌ててしまった。爺やと一緒では意味がないんだよな。
「そんな事はないですよ。夕方まで大丈夫ですから、行きましょう?」
「いやいや、そういう事は若い使用人にさせればいいでしょう。あ、そうだ。一番若い使用人を呼んでくれないかな?」
「一番若い使用人ですか? さて、誰でしょう……」
爺やは首を傾げて考え込んだ。一番若いのは小松だろうに。ボケたのだろうか。それともわざと惚けてるとか?
「ああ、本多小松というメイドが一番若いですね。その者でよろしいですか?」
「うん、いいよ。その子で……」
「かしこまりました。すぐに呼んで参ります」
よしと。ヒロミを捜しながら小松にそれとなく聞いてみよう。恋人がいるのかどうかを……
果たして小松に恋人がいるのかいないのか、その事が気になって仕方ない。その二つに同時に対応するある方法を俺は思い付いたのだ。
「旦那さま、お呼びでございますか?」
70歳を過ぎてもまだまだ元気で、屋敷内を一手に仕切っている爺やが、いつもの人懐こい笑みを顔に浮かべてやって来た。
「うん。ヒロミはまだ見つかってないよね?」
「はい、申し訳ありません。手分けしてお捜ししているのですが……」
「そう? じゃあ、僕も捜すとしようかな」
「それにはおよびません。私共にお任せください」
「いや、僕も捜したいんだよ。心配だし、どうせ暇だからね。と言っても、一人でというのもなあ」
「では私も一緒に……」
「いやいや、爺やはいいよ。忙しいでしょ?」
思わぬ展開に俺は少し慌ててしまった。爺やと一緒では意味がないんだよな。
「そんな事はないですよ。夕方まで大丈夫ですから、行きましょう?」
「いやいや、そういう事は若い使用人にさせればいいでしょう。あ、そうだ。一番若い使用人を呼んでくれないかな?」
「一番若い使用人ですか? さて、誰でしょう……」
爺やは首を傾げて考え込んだ。一番若いのは小松だろうに。ボケたのだろうか。それともわざと惚けてるとか?
「ああ、本多小松というメイドが一番若いですね。その者でよろしいですか?」
「うん、いいよ。その子で……」
「かしこまりました。すぐに呼んで参ります」
よしと。ヒロミを捜しながら小松にそれとなく聞いてみよう。恋人がいるのかどうかを……