未来から来た花嫁 ~迷走する御曹司~
少し待つと、爺やに連れられて小松がやって来た。当然ながら、いつもの真っ黒なメイド服を着ている。

しまった。“私服に着替えさせて”と爺やに頼むんだった。そうすれば、メイド服でない小松を俺がどう思うか、それを確かめられたのになあ。だが待てよ。もし“なぜでございますか?”なんて爺やから聞かれたら、答えに困ってしまうなあ。


「では、旦那さまの指示に従って、くれぐれも粗相のないように」

「はい、承知しております」


などと会話した後、爺やは俺に会釈して去って行った。さて、改めて小松をよく見てみよう。

背はまあ、女の子としては高くもなく低くもなく、普通と言ったところだな。体型はやや痩せ気味、かな。はっきりは分からないが。

髪の毛は短かめで、黒に近い栗色といったところか。若干染めているのだろう。

顔は小さく、色白で顎は少し尖り気味。眼鏡は掛けておらず、目は黒眼がちで大きく、白目は真っ白で実に綺麗だ。まるで人形のそれのように。

頬は薄っすらピンク色し、唇はややぽってりしていて鮮やかなピンク色。口紅を塗っているのかは分からない。


うーん、やっぱり可愛いなあ。俺専属にしたいぐらいだ。


「あ、あの、旦那さま?」

「ん?」

「ヒロミさまを捜しに行くのでは……」

「うん、行こうか?」


と言ったものの、やや小首を傾げて俺を見つめる小松を見ながら、俺はある事を試してみようかな、と思った。

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