【新】俺様社長の溺愛
会長の言葉に、返事はしなかった。

…でも、手はギュッと握りしめた。


一礼した安西課長は、会長室を出ていった。


…私の恋は、絶対に叶う事もない、

夢でしかなかった。



…私はしばらく、何も考えられなかった。


…まだ仕事中なのに。

オフィスに帰らなきゃいけないのに。

誰もいない、非常階段から、一歩も動けない。


「…綾瀬」

「・・・か、ちょう」

振り返った私の目に、安西課長が映った。


・・・安西課長は、何を言うでもなく、

黙ったまま、私をギュッと抱きしめた。


…私は安西課長にしがみ付いて、泣いていた。

…もう少し泣いたら、

いつもの私に戻ると、心の中で呟きながら。
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