彼の腕の中で  甘えたくて
私はホテルへ戻る途中、タクシーの中でひらめいた。

ファイルを開いてメモった。

深紅、ベルベットローズ、ワインレッド、魅惑なレッド、貴女を酔わせるワインなレッグ、これ、いいフレーズだわ。ベルベットな気分で魅せるワインな脚、ちょっとくどいわ。

「主任、着きましたよ。」

河野くんに部屋のカギをもらってくるよう頼んだ。

私は巨大ホテルの華やかで賑やかなロビーを見渡した。

女性客達の足元を見て、履いているストッキングをリサーチした。

ほとんどが地味なベージュか、たまにホワイト系がちらちら、いわゆる編み系とか、ブラックも多い、フォーマルを着た人はやはりブラックか、式場客はたまにラメ系がいる程度だった。

ストッキング業界に革命は永遠に来ないわ。

ここにはうちの「シャンパーにゅ」を履いている人はただの一人もいなかった。

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