彼の腕の中で  甘えたくて
二人で中華を食べた。

「僕もう入りません。食べ過ぎましたよ。」

「本当。食べたわね。私はデザートにバニラを注文するわ。あなたはいいの?」

「もういいです。」私はバニラアイスの濃い味にうっとりして食べた。

昼間のベルベットローズといい、このバニラといい、そのまろやかさを安心した味わえた。

「主任、この後はどうするんですか?」

「食事の後のこと?」

「そうです。」

「別に何も予定ないけど、河野くんはどこかへ行きたいのかしら?」

「いえ、別にどこってわけでは。」

「そう、仕事はまた明日からよ。この後は自由行動にしてくれて構わないわ。」

「主任はどうされますか?」

「私?私は部屋へ戻るわ。」

「一人でですか?」

「えっ?」

「僕を放ったらかしですか?」

「何を言っているのよ、子供じゃないでしょう?」

「一人じゃ寂しいって言ったら、主任、相手をしてもらえますか?」

「冗談よね、河野くん?」

「いいえ、本気です。僕酔ってませんから。」

「・・・・・」私は頭を振った。

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