彼の腕の中で  甘えたくて
彼女はなかなか目を覚まさなかった。

そんなによかったのか?

そんなに僕の体に満たされたのか?

僕で狂ったか、そう思い鳥肌が立った。

彼女は何度抱いても飽きない女なのか。

恋人を京也と言っていた。

そいつは彼女の全てを知っているのだろうか。

彼女はそいつに満足しているのだろうか。

僕よりもそいつの方が上手いのか。

疑問はどんどん膨らんだ。

普段は会社での彼女しか知らない。

僕が知っているのはスーツ姿の彼女だけだ。

もっと知りたい。

「出張のたびに私を抱く気ね?」

「僕にはそれしかない。許されないことかもしれないけど。」

「今だって許されないことなのよ。」

「恋人には黙っていればわからない。」

「あなたはそれで済むけど、私にはあなたほどの自信はないわ。隠し通せるわけない。いつかバレるわ。」

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