彼の腕の中で  甘えたくて
「由衣さんは相変わらずだね。」

「そお?」

「小っちゃくて可愛くて明るくて一緒にいるだけで嬉しくなる。前もそうだった。毎朝事務所に行くともうすでにPCに向かっていて普段の由衣さんじゃなくてバリキャリの雰囲気だった。でも昼休みになると全然違ってケラケラ笑っていたのが印象的だった。専務の使いで外出する時はまた仕事の顔になっちゃって、俺なんか声も掛けづらかったのを覚えているよ。」

ひゃ~なんて細かく覚えている人なのかしら?

彼ってA型かしら?

「そうだったかな?」

「そうだよ。俺とは部門が違ってたから接点なくてさ。がっかりだった。唯一返品の時だけ堂々と話せた。ほら、添付書類は全部英語だったじゃないか、由衣さんにチェックしてもらってた。覚えてない?」

「覚えてるけど。」

「由衣さんにとって俺なんか年下のガキにしか見てもらえなかったんだ。」

「私、そんな風に思ってなかったけど。」

「とにかく、俺は由衣さんが好きだった。今も好きだよ。今日ここで会えたことで前よりも好きになった。」

「それ真面目に言ってるの?」

「そうだよ。俺がふざけてるように見える?」

「びっくりしちゃって。」

いきなりで、場の雰囲気が変っ!

どうしよう。

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