彼の腕の中で  甘えたくて
検査の結果は郵送だと聞いていたので食べ終わったら出社するつもりだった。

「食べたら眠くなっちゃうよな。ふあ~ぁ。」

高野くんはソファに横になってしまった。

私もつられてアクビをしてしまった。

目を閉じてソファに横たわった彼をじっと見つめた。

返事、どうしよう。

本人が目の前にいるからうまく考えられなかった。

私はカーペットの床に横座りしてソファにもたれかかった。

私まで眠くなっちゃうじゃない。

私はソファに顔を伏せてついウトウトしてしまった。

「由衣さん、起きて!」

その声にハッとして目を覚ました。

シマッた、熟睡しちゃった?

パッと腕時計を見たらまだ1時前だった。

よかった。

まだ大丈夫だわ。

「由衣さん、そんなに眠かった?」

彼は私の目をのぞき込んだ。

「寝顔、見たかった。」と言っていきなりキスをした。

「由衣さんが欲しい。」今度は首筋に吸い付かれた。

「ダメ、ダメだったら。」彼の唇を熱く感じた。

溶けちゃいそう。

「由衣さん、俺のキスマークを見ながら考えて返事して。携帯貸して、俺の番号を入れておくよ。」

キ、キスマークですって?

私、もしかして遊ばれてる?

「じゃ、返事を待っているよ。俺、会社に行くから。」

「私も行かなくちゃ。」

私は立ち上がった。

彼はじっと私を見ていた。

「な、何?」

「いや、別に。」

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