彼の腕の中で  甘えたくて
由衣さんはぐったりしたまま起きなかった。

気絶するほど俺が欲しかったなんて思っていなかった。

俺が彼女をボロボロにしたんだ。

少しショックを受けたかも、俺。

「由衣さん!」彼女の肩を揺らして声をかけた。

「もうできない。」

「あったり前だよ。やり過ぎだ。いつもこうだと体がもたないと思う。俺じゃなくて由衣さんがだ。」

「いつも欲しがっちゃダメなの?」

「ダメじゃないけど限度ってものがあると思う。」

「今日は初めてだったからかしら?」

「そうだな。」

俺は汐衣さんとこんな会話ができるとは努々思わなかった。

俺がキスをすると彼女は応えた。

この間首筋につけたキスマークはすでに消えていた。

髪に隠れるような所にまた赤くなるまで吸い付いたら、彼女はそれだけで震えた。

無性に愛しく思えた。

このまま素っ裸で抱きしめ続けたいとさえ思った。

彼女の小柄な体は俺の腕の中にすっぽりと収まった。

抱き心地がよかった。

俺の体との相性が良くてしっくりした。

俺の体がデカイ方だから余計なじんだ。

これから何度も彼女を抱くことになると思うとドキドキした。

俺ってやっぱりガキだ。

彼女の方が年上だが、今は一緒にいても気にならなかった。

付き合っていく内に気になってくるだろうか?

彼女はどう思っているのだろう。

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