しっとりと   愛されて
毎朝一番に専務室を心地良く整えなければならない。

テーブルを拭き、オーディオとFAX・TVの埃をフロスで拭い、花瓶の水を替え、コロコロでカーペットの上を素早くひと回りする。

お茶の用意をして、ミネラルウォーターのストックを確認する。

ピッチャーとグラス、おしぼりをトレーに乗せて運び、ブラインドを斜めに開けて、ぐるりと部屋を見回す。

チェック完了だ。

まもなく9時になる。

ランチの支度、在席中なら午後のお茶も、全て専務にお聞きしてから支度する。

お茶うけも買いに走ったりする。

海外からのお客様が予定にあったら、ランチの他にフルーツやスイーツもオーダーしなければならない。

たかがお茶くみだけれど、意外に忙しかったりする。

これで給料をもらえるなら、残業もゼロだし、今の部署で私は小躍り気分なのだ。

帰宅時間が待ち遠しかった。

< 5 / 60 >

この作品をシェア

pagetop