悠久幻夢嵐(2)-朱鷺の章-Stay in the Rain~流れゆく日々~
「おいっ、華月」
華月の様子を診察した後、
すぐに冷静さを取り戻した華月は、
万葉に支えられるように
病室を後にした。
「……飛翔……」
「気にするな。
華月と万葉が何かを隠しているのは
あれでわかった。
後は俺が調べる。
お前は家に帰ってもう少し休め。
学院には、
俺が欠席の連絡をしておく」
その後、退院手続きが終わった俺は、
飛翔と共に鷹宮総合病院を後にした。
熱は下がったものの、
今も膨大な声は流れ続け、
遮断することも出来ないまま
不快感だけが続いている。
病院から自宅マンションまで、
わずかな道程を移動しただけなのに、
すでに俺の体は疲れて果てて、
自室のベッドで倒れこむように
眠りについた。
俺の身に起こる異変。
それは幼い時から、
時折、感じた異変に似ている。
それが力に寄る対価だという事を
知る術もなく、
ただ疲れ果てた体を休めるように
眠りへと誘われ続けていた。