悠久幻夢嵐(1)-雷の章-a rainy insilence

チクショー。




何度か、少女に体当たりを試みようとするものの
俺の体はすり抜けてしまって、感触が得られない。



ベッドの少女は今も眠ったままで、
部屋に居る啓二は時間が止まってしまったかのように、
同じ体制のまま一歩も動くことはない。



神威が必死に抵抗している姿を見ながら、
俺は精神を集中させて、兄貴の護符に手を伸ばす。









兄貴……力を貸してくれ。


……雷龍翁瑛……。








目を閉じたまま、ただひたすら言葉を繰り返し続けると、
俺の中に突然、稲妻が落ちてきたような衝撃と轟が聞こえた。




意識を奪われそうになる中、
その不安定な意識の中で『宵玻 招来』っと
懐かしい兄貴の声が響いた気がした。


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