捨て猫にパン
「この時間で大丈夫?」


「あ、ハイッ。せっかくのお休みの日に、スイマセン…。ありがとうございます」


「いいよ、別に。明日からもこの時間でいい?」


「───?」


「迎え。毎日送るつもりなんだけど」


「はぃっ!?」


「ソコ、驚くトコなんだ?」


チラッとあたしを見て、喉仏をクルクルさせて笑う倉持さんをしばし凝視。


あたしの聞き間違えかと、右手の甲を少し噛んでみる。


「噛まない。イヤ?」


落ち着いた仕草で運転席から伸びた左手は、あたしの口元にある右手を握って、そのまま。


そのまま手繋ぎ状態。


運転席の倉持さん。


繋がれた大きな左手とあたしの右手。


キョどってるあたし。


遅刻しそうになっても、こんなに心臓は忙しく動かない。


朝からハードなんですケド…。
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