捨て猫にパン
「連絡つかないから、どうしてるかな、って」


「電話…?」


「着拒だろ?急にどうして?」


電話…着拒…。


あ…。


出張先で陣にケータイ貸したあの時…?


「あの日、なぜ泣いてたのかなって。捨て猫って何かなって、気になってさ」


「何でも…ないです…」


「少し、話いいかな?」


「お客さんが来てて…」


「時間は取らせない。少し」


倉持さんの強い押しに、あたしはただ頷いた。


「乗って」


開けてくれた助手席に乗って、車はすぐ近くの公園裏に移動。


夏の公園からは、花火で賑やかな高校生達の声が聞こえた。
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