捨て猫にパン
「ビールとカクテルだけ買ってきた。メシの前に、さ」


「んっ?」


「ただいまとかおかえりの、その、何だ。アレだよ、アレ」


「なぁに?」


「キス…とか…じゃね?」


「フフッ…。そうだね?」


あたしに合わせてかがむ陣の唇に、ちゅっ、って軽くキスすると、お互い恥ずかしくなってモジモジ。


「さ、メシ食わせてもらおうかっ」


2人で並んだおかずの前に座って、夜9時の夜ご飯。


「んーっ!真琴、うまいよ」


「うんっ。ありがと」


食事とお酒の間に明日からの2日間の話。


「軽井沢、行こう。もうペンションの予約、入れてある」


「えっ?軽井沢?」


「真琴に見せたいものがある」


「何?何っ?」


「ナイショ」


それきりで何度聞いても、陣は明日の種明かしをしてくれない。


一緒にお風呂に入って、小さなベッドで愛し合って朝を待った。


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