Wednesday ☂


校外学習 当日。

天気は雲一つなくてまさに遠足日和。

平日の昼という貸し切り状態の遊園地を、それぞれ満喫しながら
みんな楽しそうにアトラクションへ向かっていた。

そんな中、わたしはというと…


「…しょっぱなから留守番かぁ。」


自由時間開始と同時にジェットコースターへ走りだした有村くんたちに置いていかれ、
静かにベンチでソフトクリームを舐めていた。


「あ、バニラにしたんだ?」

気分と一緒に顔も下げていたわたしに構わず、目の前の長身な彼が少し屈んで問いかける。

「うん!黒崎くんは?」

「チョコ。一口食べる?」

「い、いえいえ…お気になさらず。」

「そお?欲しかったら言いなよ。」

予定通り、絶叫系の間はわたしたちは留守番。
せっかく遊園地に来ても高所恐怖症には楽しめるアトラクションは限られているし…仕方ないんだけど。

それよりも、今一番不安なのは
このどこまでもマイペースな黒崎くんと二人きりなこと。

……話、続くかな。
沈黙は気まずいし…とにかく話題を振るしかないよね。


「黒崎くんは ほんとに乗らなくていいの?」

「ん、あぁ。俺こういうトコあんまり好きじゃないから。」

「…でもせっかく来たんだし「なにか乗りたい?」

「へっ…、わ…わたし?」

「だって安達サンだってせっかく来た人の1人だよ。
派手なやつじゃないなら俺も付き合うし。」

…な、なんとなく…話しにくい。

裏を読むように話す黒崎くんに少し押されながらも、話を進めるためパンフレットを開いた。

「うーん…、高くなくてスピードが出ないのとか…」


「…メリーゴーランド?」

「ぐるぐる回るよねあれ…酔うかも。」

「じゃあコーヒーカップは?
回さなきゃそんな回転しないよ。」

「あ……それなら大丈夫かも。」

「決まり。それ、食べたら行こ。」


…今。わたしに合わせて、くれた?

心の中で苦手だと決めつけてしまっていたことに謝りながらも、
眠たそうに目をこする彼を横目に見てみた。

切れ長の目が前髪で少し隠れていて
やっぱり、ちょっと怖そうだけど…きっといい人なんだ。

さっきよりどこか柔らかく見えるのは、気のせいじゃないと思う…
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