Wednesday ☂
「黒崎くん…あの、」
「くろさきくん、って長くない?」
「え?」
「真由でいいよ、
女みたいな名前だし呼びやすいでしょ?」
女みたいな名前…という言葉と同時に少し嫌な顔をする彼。
た、確かにまゆちゃんは居てもまゆくんは初めてだ。
「真由、ちゃん。」
自然と口に出た言葉にハッとする。
真由ちゃんって!黒崎くんはそれを気にしてるのに!
普段からの由紀ちゃん呼びが癖になってるんだ…!
やってしまった感に頭を抱えていると、上から低い低い声が聞こえた。
「次ちゃん付けしたら、コーヒーカップが10倍速になるから。」
……え?
黒い笑顔を浮かべる彼が、
まだ本性を現してなかったことをこの時のわたしは気付いてなかった。
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「安達サン、大丈夫?」
「だ…だ、大丈夫なわけないよ!!
あんなにぐるぐる回されたのっ初めて…うぅ…」
「だって、真由ちゃんって何度も呼ぶから。」
「そ、それは止めてってお願いしてたの…!」
コーヒーカップを乗り終えたわたしは、ふらふらと安定しない身体になっていた。
それは全部真由ちゃ…じゃなくて、真由さんのせいで。
今目の前にいる彼は、さっきまでと違う怖さ。
ぼーっとしててマイペースな黒崎くんのほうが、数倍良かったかもしれない。
「でも、いい反応が見れて良かった。
周りもコーヒーカップで騒ぐ安達サンに注目してたし。噂になったりして。」
「やめてよもう…!
ほんっと…恥ずかしいから忘れてください!」
「そんな風に言われると、ずっと覚えていたくなるんだけど。」
わたしが真由ちゃん発言をしてから、
なんだか吹っ切れたみたいに黒い口調になった彼。
…これが巷で言われるSってことなのかな。
一人怯えるを見ていい表情で笑う真由さんは、きっと今この状態が本性で…
わたしに心を開いてくれたのかもしれないけど、
いいコトかわるいコトかは分からなかった。