春恋~春来い~
「俺、小さい頃に幼馴染みの女の子がいたんだ。元気でさ。いっつも俺を支えてくれてた。小さかったから意識してなかったけど、俺、そいつの事好きだったんだと思う。だけど…」











蒼太が泣いてる…
初めて見た………










「だけど、アイツ…波奈は俺の目の前でトラックに跳ねられた。俺、守れなかったんだ。近くにいたのに…。今でもさ、その光景が鮮明によみがえってくるんだよ…。だから、俺、好きな人が出来ても、自信がねぇんだ。俺は守れないって思ったんだ。だから中3の時も好きな相手から告白されて、嬉しかったけど、もし、何かあったら、また同じ様な事が起きるかもしれないって思って、彼女を失いたくないって感じて、別れる事にしたんだ。俺ってほんと、カッコ悪いよな………」











「カッコ悪くなんかない!」











私は場所違いの声を出してしまったみたいだ。でも、そんなのどうでもいい。


私はいつの間にか泣いていた。








「蒼太、ごめんね、もっと早くに気付いてあげられなくて…。そんな大きな事、ずっと抱えて生きて来たんだね…。その…波奈ちゃんって言う子を亡くしてしまったのは、蒼太のせいなんかじゃないよ。蒼太は悪くない!私には蒼太の気持ち、分からないけど、悲しかったよね…。辛かったよね…。」










私は、蒼太の手を握った。












「ハル………。言えた。言えて良かった。」












「え…?」












「俺、まだこの事、誰にも話した事無かった…。けど、今日、ハルに話せた。…………話したら、すごく気が楽になった。ありがとう…」












「蒼太、蒼太は守れたよ?この私を守ってくれた。蒼太は守れるよ?だから、もう、ひきずらないで。私を守ってくれて、ありがとう…」











「俺、守れたんだ…。ハルを、守れたんだ…。守れて良かった。守れるんだ。俺、これからは、大切な人を守るために……生きる。ハル、俺、早く退院して、あと三日間、ハルを守りぬくから。」











「うん!私も、蒼太の彼女になりきってあげる!」







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