マーメイドの恋[完結]
「やろ?ここの肉はほんとうまかもんね」
全部食べられないと思ってたステーキを、夏子はペロリと平らげてしまった。
「ほんとに美味しかった。ごちそうさま」
店を出てから夏子は言った。
「これからも、たくさん美味しいとこ連れてくよ」
「でも、たまにはラーメンでもいいわよ」
「だめだめ。どこで誰が見てるかわからんとやけん」
ー何それ。食べる物も見栄張ってんの?よくわからないわ。その感覚ー
「いつも高級なものばかり食べてるの?」
「ほとんど仕事関係で、人と食べるからそうなるっちゃんね」
ー体に悪いような気もするけど、私が作ると言っても駄目だと言うよね、きっとー
この男と付き合うのは肩が凝る。
夏子は少し疲れてきた。