誘う、誘ってる【短編】
連れて行かれたお店は定食屋さん。小さなお店、ふくよかな女将さん。手作りのお惣菜はとても美味しかったけれど、辺りを見回せば年配サラリーマンが数組。とてもデート向きのお店じゃない。

つまりは、私はオンナとして見てもらえてない、ということ。最後に出された焙じ茶をすする。口紅が落ちていることに気付いて、私は席を立った。


「お手洗いに」
「ああ」


化粧室に入り、軽くファンデーションをはたく。そして口紅を塗り、上からグロスを重ねた。


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